船舶燃料、原油、蒸留残渣の二段階酸分解による元素分析前処理
船舶燃料、原油、蒸留残渣などの重質⽯油製品の微量⾦属分析は、従来、⾯倒な灰化 / 溶融法（IP501またはASTM D5708、D5863）を経て⾏われてきました。この代替法であるASTM D7876準拠のマイクロ波酸分解法は、より迅速で、従来の⽅法に存在していたいくつかの深刻な⽋点を克服しています。
⽯油製品は、その元素含有量について⽇常的に分析されています。原油、燃料油、船舶燃料油、残渣油においては、Si、Al、V、Ni、Fe、Naなどの濃度値が品質と価値を定義するために用いられています。原油中のNiとVは、処理中に触媒を不活性化させる可能性があり、燃焼中にモーターやボイラーの腐⾷を引き起こします。触媒の分解により発⽣するSiとAlは、ポンプやエンジンの摩耗を引き起こします。粒⼦状に存在するため、代表的サンプルを確実に採取するには、⾮常に徹底した⾼せん断混合が必要です。
従来の⽅法は、乾式灰化（融解あり/なし）とそれに続く酸分解に依存しており、試料を白⾦皿に入れて燃焼させた後、マッフル炉で一晩かけて炭化させます。無機残渣（灰分）は、フッ化物／ホウ酸塩フラックスに吸収されるか、開放型分解システムで酸分解され、最終的に希酸に導入されて水溶液として分析されます。この⽅法は、10gを超える大量のサンプルを処理できますが、揮発性元素の損失に関連する大きな誤差と、数時間から2⽇間の処理時間の問題があります。乾式灰化の一般的な⽅法は、IP 501、ASTM D5708（試験⽅法B）、またはD5863（試験⽅法A）です。
測定限界が低いため、ICP-OES や ICP-MS などの最新の測定技術では、正確な分析データを取得するために数グラムのサンプルを必要としません。
さらに、密閉容器内でのマイクロ波酸分解などの適切なサンプル前処理技術も必要です。Multiwaveのローター8NXは、反応性の⾼い⽯油製品のあらゆる分解処理において、より早い品質の監視とコントロールを提供します。
新しい標準規格 ASTM D7876 (マイクロ波加熱を使用したサンプル分解をカバー) の発表により、⽯油化学業界におけるこのサンプル調製⽅法の重要性が⾼まっていることが確認されます。
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