電気浸透流を利用した固体材料表面のゼータ電位分析:その技術的背景および物理的限界について

近年、平板試料と周囲の粒子分散液の界面における電気浸透流 (EOF) を計測する原理がますます注目を集めています。EOFマッピングの利点として、粒子の特性評価 (粒子径、ゼータ電位) と固体材料表面のゼータ電位分析を1つの装置で実施できることが挙げられます。EOFマッピングは一見単純ですが、実際にはこの方法の信頼性と適用可能範囲を制限する物理的および技術的な課題が隠れています。このレポートではこれらの課題を取り扱い、EOFマッピングと流動電位測定の両方を用いて得られたゼータ電位の結果について、これらの品質を評価している他の研究者の事例と我々の経験との比較を行います。

序論

固液界面でのゼータ電位は、さまざまな動電学的効果の測定により評価できます。その適用可能範囲は、固体試料の大きさにより異なります [1]。アントンパールでは、粒子分散液やエマルションの電気泳動移動度の測定 (Litesizer 500による電気泳動光散乱法)、および顆粒、繊維、多孔質媒体、平板試料などのマクロスケールの試料の流動電位と流動電流の測定 (SurPASS 3) という最も確立された手法を取り扱っています。
材料や条件の選択によっては、他の動電学的効果を使用してゼータ電位を求めることも可能です。例えば、分散剤 (通常は水) よりも大幅に密度が高い粒子分散液の電気超音波振幅またはコロイド振動電位 (別名、電気音響測定法)、固液界面での電気浸透流です。固液界面での電気浸透流は、電気泳動移動度の測定におけるアーティファクトと見なされます。
電気浸透流 (EOF; Electro-Osmotic Flow) の原理は、1つの装置で粒子径測定および粒子と固体材料の両方のゼータ電位分析を統合して実施できるため、近年関心を集めています。ただし、文献で報告されているEOF法により得られたゼータ電位の結果は、大きな測定誤差を示す [2,3] か、流動電位測定による検証を併せて実施する必要があります [4]。
このレポートの目的は、EOF法の課題について説明し、固体材料表面のゼータ電位分析への適用を制限する測定パラメーターを見極めることです。

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