製薬業界向けの粒子径分析

粒子径は、製薬業界で重要なパラメータである流動性、含有量の均一性、バイオアベイラビリティ、溶 解および吸収挙動に強く関連しています。したがって、製品の有効性と製造工程は粒子径の影響を受 けるため、有効成分と賦形剤の両方を評価することが重要になります。ここでは、さまざまな製薬用途 の賦形剤として定められた3 つのラクトース粉末の粒子径分布の測定結果を紹介します。

粒子径は、表面積と多孔性に影響を与えるため、製薬業 界では重要なパラメータです。よって、薬物のバイオアベ イラビリティ、有効性、および保存期間に影響を与えます。 したがって、粒子径は品質管理だけでなく、新しい医薬品 有効成分(API)の開発でも測定されます。実際、粒子径 分布(PSD)は、新薬を評価するときに確認する最も重要 なパラメータの1 つです。例えば粒子径は、さまざまな肺 疾患の治療において対応するAPI を粉末として肺に送達 するために一般的に使用される粉末吸入器にとって重要 なパラメータです。薬剤は粉末として調製され、推進ガス を必要とせずに吸入されます。API はそのままの形、もし くはラクトースなどの担体に付着させて用いることができ ます (1)。 粒子径は、打錠および造粒工程にも大きく影響します。小 さな粒子は溶解を促進しますが、過圧縮に対しても敏感 であり、ほぼ形が崩れない硬い錠剤になります。他方、大 きな粒子は、製造工程中の流動性、圧縮性、供給クリアラ ンスの向上につながります。さらに、粒子が狭い粒子径分 布を示す場合、成分分布がより均一になります (2)。 PSD は、医薬品の製造工程と性質だけでなく、行政の取 り組みにも影響を与えます。すなわち、PSD が狭いと、 FDA プロセスバリデーションガイドラインと医薬品規制調 和国際会議(ICH)ガイドラインQ6A (3) (4)に関する新薬 の仕様適合が容易になります。 このアプリケーションレポートでは、さまざまなラクトース試 料のPSD の測定結果を紹介します。ラクトース(α-ラクト ース)は、ガラクトースとグルコースからなる二糖類で、流 動性と圧縮性に優れています。製薬業界では、錠剤の賦 形剤、カプセルのフィラー、吸入器の担体粉末として使用 されています (5)。 レーザ回折・散乱法は、粒子によって回折されるレーザ光 の角度が粒子径に応じて変化するという事実に基づく、粒 子径分析の最も一般的な手法の1 つです。この測定手法 は、米国およびヨーロッパの薬局方(USP 429、EP 2.9.31) に準拠しています。これらの薬局方は製薬業界での粒子 径測定に使用されるレーザ回折・散乱法に関する指針を 提供しています。

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